実家からアスパラガスが届きました。北海道帯広市の近くの芽室町と川西町のJAから取り寄せたものだそうです。太く、やわらかく、噛むと青々とした香りとほのかな甘みが広がります。どこか、そら豆を思わせるような風味です。
この味に初めて出会ったのは、高校生の頃でした。
当時、私は転校のため、せっかく入学した高校を離れ、北海道帯広市へ移ることになりました。友人たちと別れる寂しさは大きく、新しい土地での生活に、心はどこか閉じていたように思います。
新しい学校では、最初なかなか打ち解けることができず、どこか生意気な態度だったかもしれません。そんな私を見に、休み時間になると教室のドアに人が鈴なりになっていたのを覚えています。転校生が珍しかったのでしょう。あの時は気恥ずかしく、少し戸惑いもありましたが、今思えば、それは帯広の級友たちなりの素直な歓迎だったのだと思います。まるで学園ドラマのワンシーンのようでした。
彼らは、おおらかに、広い気持ちで私を受け入れてくれました。その温かさに、どれほど救われたことでしょう。
帯広で過ごした二年半は、家族との思い出にも満ちています。テニスやスキーを楽しみ、オンネトーの静かな湖面に見入ったこと、池田ワイン城へ出かけたこと。夜空を見上げると、はっきりと天の川が見えました。
高校を卒業すると私は一人暮らしを始めたので、この二年半は、家族がそろって暮らした最後のひとときでもありました。十勝の広い空の下で過ごした時間は、今も心の奥に澄んだ景色として残っています。
人生を振り返ると、当時はつらいと思った出来事が、あとになって大切な時間だったと気づくことがあります。帯広への転校も、そのひとつです。
転勤の多い家庭に育ち、私自身もさまざまな土地で時間を過ごしてきました。それぞれの土地に、それぞれの思い出があります。
今日、アスパラを口にしながら、あの頃の空気や景色、人の温かさを思い出しました。一つの味が、遠い記憶を鮮やかによみがえらせてくれる。そんなことがあるのだと、改めて感じています。
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