定年を前に、もう一つの仕事を考えた

定年前の準備

① 定年を前にして、もし今の職業と別の職業を選ぶとすれば

つらいこともありましたが、今の仕事を続けてきたことに後悔はありません。
夢だった海外勤務も経験でき、やりがいもそれなりにありました。給料も安定して支払われ、生活に困ることはありませんでした。

それでも、ふと考えることがあります。
もし、今の職業を選んでいなかったとしたら、私は何になっていただろうか、と。

今、思い浮かぶ職業は旅行ガイドです。
私は決して人付き合いが上手いわけではありませんし、気がきくタイプでもありません。
旅行ガイドという仕事には、生活が不規則で、収入も安定しないという勝手なイメージもあります。

それでも、やってみたいと思う理由があるのです。

② 通訳ガイドを選んだ原体験

元々、旅行が好きで、漠然と「旅行に関わる仕事ができたらいいな」と思っていました。

通訳ガイドという仕事を意識した最初の経験は、まだ20代の頃です。
アメリカ人の一行の研修旅行に、通訳として参加したことがありました。

仕事の案内に加え、文化体験として神社仏閣を巡り、書道やお茶も体験しました。
私自身、日本文化について特別な知識があったわけではありません。周りの人に聞いたり、説明文を英訳したりしながら、必死に伝えていました。

彼らはとても興味を持ち、たくさん質問してきました。
私の説明が伝わった瞬間、驚いたり、感動したりする表情を見せてくれます。
その時、日本文化を知ってもらえたことが、こちらまで嬉しく感じられました。

二つ目の経験は、40代の頃です。
職場はほぼアメリカ人で、日中の仕事だけでなく、仕事終わりの一杯や週末の観光も、自然と一緒に行動するようになっていました。

料理の説明をしたり、居酒屋の予約をしたり、電車の案内をしたりすると、とても感謝されます。
そのたびに、日本の良さを知ってもらえたこと、そして誰かの役に立てたことが、素直に嬉しかったのです。

③ 勉強の効能

思いを形にしたくて、通訳ボランティアに応募しました。しかし、新型コロナウイルスの影響もあり、活動は思うように進みませんでした。

そのとき、全国通訳案内士という試験の存在を知り、「まずは自分を整えよう」と思い、挑戦することにしました。

覚えることは想像以上に多く、決して楽ではありませんでした。

それでも、過去に出題された観光地を実際に訪れたり、観光白書を読んだりする中で、日本という国を改めて知る機会になりました。

ただ試験対策をしているつもりが、いつの間にか、日本をどう伝えるかを考える時間になっていました。

観光で使われる英語を学ぶことは、自分が通訳ガイドになった姿を想像してワクワクドキドキしました。

そして年齢を重ねても、まだ新しいことを学べるという実感は、静かな自信につながりました。

④ これからやりたいこと

結果として、試験には合格していました。

正直なところ、まず感じたのは達成感よりも、ほっとした気持ちでした。

本業を続けている今、この資格がすぐに何かを変えるわけではありません。

それでも、自分の幅が少し広がったこと、そして外国人旅行者が困っている場面で、以前よりも自然に声をかけられるようになったこと。

それだけでも、挑戦してよかったと思っています。

これからも、日本をより深く知り、それを誰かに伝えることに、関心を持ち続けていきたいと思います。

資格はゴールではなく、これからの時間をどう使うかを考えるための一つの節目だったのかもしれません。

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